2009年3月25日水曜日

[335] ラジオゾンデ - Sanctuary


Label: Starnet Muzik
Catalog#: ZN-1119
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 2009
DISCOGS  OFFICIAL

ギターやクロマハープ、ディレイなどのエフェクターを使い「気象観測気球から眺めた音の風景画」を奏でるデュオ「ラジオゾンデ」(青木隼人+津田貴司)のファーストアルバム。STARNET ZONE(益子)と自由学園明日館(目白)でレコーディング・セッションを行ない、音が生まれる瞬間の息遣いや、音楽をとりまく場所の空気感を活かしたミキシングで仕上げられた九篇の演奏。タイトルの「サンクチュアリ」は、聖域、鳥獣保護区のこと。


new masterpiece of 'picturesque music from an observation balloon' by duo project Radiosonde = Hayato Aoki + Takashi Tsuda. they played guitars (pastoral melody, pointillism, atmospheric drone), chroma harp and some electronics with song of birds (varied tit, brown-eared bulbul etc), crickets and cicadas in Mashiko.



1. air

鈴とハープが空気を震わす。Laraajiのようなチターだと思っていた音色は、クロマハープという東海楽器製(多分)オートハープ。レコーディング場所にもなった、STARNET ZONEで2008年9月に行われたStarnet Muzik Sound Festaでのパフォーマンス幕開けでは、観客の周囲を、津田貴司さんが鈴、青木隼人さんがハープを奏でながら回りましたが、このCDでの曲も同じくマイクの周りを回っているそうです。これから繰り広げられる演奏絵画の為に、基底材にジェッソを塗っているような印象があります。若しくはイヤークリーニング。

2. swallow

タイトルはツバメですが、遠くの飛行機や雲を眺めている気持ちになります。それはギターによるドローンが、私には飛行機が家の上空を通った時の、家全体が共振するかのような太い音のように聞こえたからだと思いました。

3. sign from the north

この曲はアルバムのハイライトの一つ。'swallow'では雲のようだったギターは、ここでは木のコブの穴か、橋の欄干に風が当たる時に鳴る、もがり笛のような音。青木さんは、自身のソロ作で聴くことができる、ゆっくりとした、不思議な雰囲気のメロディを、ノリと抑制の中庸を奏でている。ギターの造りか、ピッキングか、タイミングか。何処か定かではないですが、そのギターはエスニックに聞こえます。後半のドローンの中、最後に現れる風の笛ギターが美しい。とても素晴らしいバランスの一曲だと思います。

4. floating over the forest

時に耳をつん裂く程、高い蝉の声。喧しいはずの夏の風景から、二人は静けさを抽出しています。居る音楽、随分前からそこに居た音楽。

5. noon

どの様な編集をしているのかは殆ど想像ができませんが。変わらずシンプルなセッティングで演奏されているはずの、この曲の背景には不思議とかすかなスティールパンのような音が聞こえます。'floating over the forest'よりも大きく聞こえる蝉の声、その他空気音は、オーバーダブされたものではなく、演奏とともに収録されていて、マイクだけではなく、ギターのピックアップやケーブルの途中から響き込んで、全ての音がなめらかに解けている。蝉と演奏家、その空間の気持ちが合一。

6. conifer

心を奪われるフレーズ。解説によれば、背景の鳥はヤマガラだそうです。鳥の鳴き声には地鳴き(call)と囀り(song)がありますが、callとsongは、音と音楽の間を揺蕩うラジオゾンデの音楽の例えのようだと思いました。

7. sparrow

即興演奏は、演奏者のもつ時間感覚がとてもよく出るのだと思いました。ラジオゾンデの演奏を聴くと、それはプレーヤーで他の音楽からランダムに切り替った時に特に思うのですが、独特の感覚があるように思ったのです。それは早い遅いではなく(早いものに比べると遅く、遅いものに比べると早いという基準は役に立たず)、体内リズムや生活サイクルや腹の虫みたいなもの。それが音に出て模様になっています。とても好きです。

8. moon

この曖昧に伸びていく尺の長い曲は、途絶えなく長く続く(そういう風に聞こえる)二人のライブを想起させます。この曲にも独特の長いサイクルがあるように感じられ、掴みどころがなく所謂環境音楽としても秀逸。

9. flight in the stellar

歳を重ねることは素晴らしい。年を重ねることは素晴らしい。私はこの名曲を、北原なおさん作の絵本、ノアの住む国のサウンドトラックとして聴きます。

bio. 青木隼人と津田貴司のデュオ。ラジオゾンデとは「気象観測気球」のこと。ギターやクロマハープ、エレクトロニクス等によって気球から眺めた音の風景画を描く。自由学園明日館(目白)、STARNET(益子)などでの演奏のほか、N.Y.在住の音楽家SAWAKOのアルバム『BITTER SWEET』(12k)などに参加。2008年には「shibata & asuna」とともに松本・金沢・福井(8月)、新潟(11月)でのライブ・ツアーを行なった。