2008年4月27日日曜日

[181] 吉村弘 - Music For Nine Post Cards


Label: Sound Process

Catalog#: WM 001
Format: Vinyl, LP, Album
Country: Japan
Released: 1982
DISCOGS

1 Water Copy 6:02

2 Clouds 5:50
3 Blink 4:39
4 Dance PM 6:28
5 Ice Copy 2:52
6 Soto Wa Ame 4:30
7 View From My Window 6:10
8 Urban Snow 4:41
9 Dream 5:20

現代音楽におけるシンプリシティや聴取法に関心を寄せていた作曲家・芦川聡が社会的なサウンドデザインの実践に先駆けて立ち上げた「波の記譜法」シリーズ。第一作として82年に出版された、吉村弘の初作「ナイン・ポスト・カード」。

窓の外の風景を眺め、その断片を記譜したポストカードを郵便で送る。その短いフレーズを、変化を与えながらリフレインすることで曲が完成する、というメール・イヴェントを通じて作曲された9つの曲を収録。「風や樹々の囁き、ゆっくり少しずつ形を変えていく雲の風景などに響き合う」(波の記譜法 書籍より)吉村弘の想い描いた音楽は、Enoが提起したアンビエント・ミュージックのコンセプトを反映したもので、極めて単純な構造でありながら無味/無表情ではなく、どこか寂しげで、時に穏やかであたたかな表情。環境(音/サウンドスケープ・空間)、そして聴取者の情感やイマジネイションとも響応する、器やキャンバスのような空/素地としての音のあり方が示され、この作品自体、さりげない挿絵をあしらった「絵葉書」のようでもあります。
波の記譜法シリーズは、同年第2作として芦川聡「Still Way」、84年には柴野さつき「Erik Satie」を発表し、次の企画「セリ・リフレクション」へ発展。86年には時事通信社より書籍「波の記譜法: 環境音楽とはなにか」が刊行。芦川聡の遺稿をはじめ、本作「ナイン・ポスト・カード」を含む環境音楽作品と、サウンドデザインの事例/サウンドスケープ調査・研究を同時に紹介した貴重な環境音楽論本です。

bio.

1940年に横浜で生まれ、2003年に惜しまれつつ逝去。早稲田大学文学部卒業後、作曲を独習しつつ、ヴィジュアル・ポエトリー、グラフィックス・デザイン、サウンド・サインを含む環境音楽など、ジャンルを軽やかに横断する才能を発揮する。自身の創案による音具、みずからの身体をもちいた即興的なパフォーマンスでも独自の境地を切り拓く。美術館などでのワークショップにも情熱を注いだ。そこには都市であれ、自然であれ、自分の周囲に存在するささやかな事物の変化に敏感に感応し、それとの対話を楽しみ、その楽しみからなにかを発見する、みずみずしく自由な感覚がいつでも息づいていた。また、すぐれたエッセイストでもあり、『静けさの本』(春秋社、2003年)は、生涯最後の著作あり、吉村弘が夢想しつづけた「総合芸術作品」となった。 - MINFAPLAN

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