2008年6月3日火曜日

[213] Nobuo Yamada - WP3


Label: ABH
Catalog#: abh-08
Format: CDr, Album
Country: Japan
Released: 2004
DISCOGS  OFFICIAL

WP#1 Metalic Rain: Improvisation Of A Phenomenon With Raindrops- 50:23

1-1 Piece Of Metal 8:48
1-2 Cymbal 10:31
1-3 Garbage Can 10:20
1-4 Empty Can 15:25
1-5 Stove 5:19
WP#2 Tap Water Vibration: Relation Between An Object And Vibration By Water 58:36
2-1 Plastic Container 9:08
2-2 Can 4:52
2-3 Bottom Of A Can 5:54
2-4 Pan 12:59
2-5 Ziploc 5:45
2-5 Plastic Container (Drone) 9:16
2-7 Metal Plate 6:05
2-8 China 4:37
WP#3 Shower Jamboree: Innocent And Natural Feedback Which Takes Place In A Shower Hose 56:41
3-1 Untitled
listen sample

激しい雨の日に聴いた金属製パイプの音をきっかけに、シンバルやアルミのダストボックス、ペイント缶などの金属素材に雨水をあてて録音(「雨音(変換)バリエーション」)、それらを雨音モノとしてまとめたという3枚組の大作。作者のジャンクノイズ作家/イラストレーターNobuo Yamada氏は、水という素材を「音を発生させる為の動力原理」として捉えたといい、対象物の素材によって音色を変える雨は、その素材の質感を浮き立たせるバチの役割。ランダムな雨だれによる金属的な現象即興 WP#1、台所の水道蛇口から様々な容器に細く垂らした水の振動を与えた WP#2、風呂場のシャワーを素材としながら水のナチュラルな素材感は殆ど感じられない WP#3。水の音を使った作品の中でも、比類のないほどパーカッシブなノイズ/音響。よく聴くと雨音に混じって近くを通る車の音が入っていたり、全て自宅の中で採取されたという水の音にも、作者の生活圏の気配(サウンドスケープ)が含まれているように聞こえます。


今回の3CDR「WP3(water point 3)」は、「水」という素材をあくまで「音が発生する為の動力原理」…として捉えている為に、通常の「水的作品」とは印象が別の物になっていると思うし、そここそが(面白い)ポイント。…ナチュラル系素材を使っても、僕の場合、出口はいつも「メタルジャンク」になってしまう。/ちょっと一息付いたら、次は残りのDisc 3「Shower Jamboree」(シャワーの水滴音響シリーズ)の編集作業へ - Nobuo Yamada 音系ダイアリ:「WP3」の為の制作ノートより抜粋


2008年5月6日火曜日

[191] Riccardo Sinigaglia - Watertube Ringspiel


Label: ADN

Catalog#: ADN TAPES 14
Format: Cassette, Album
Country: Italy
Released: 1985
DISCOGS

A Watertube 15:30

B Ringspiel 15:30

Riccardo Sinigaglia(リッカルド・シニガリヤ)はビジュアルアート、出版、音響/視覚詩、演劇、メールアートなど様々な表現活動を行っているイタリアの芸術家。Futuro Antico(フトゥーロ・アンティコ)やThe Doubling Riders(ダブリング・ライダース)など空想民族音楽〜室内楽のプロジェクトでの活動のほか、ソロではドキュメンタリー映画やバレエのための音楽を制作しています。本作はエレクトロアコースティックのスタイルで作曲された最初期のカセット作品。マイクを仕掛けたプラスチック製のチューブに水を入れてジャブジャブ揺すった音とピアノを重ねたA面 "Watertube" は、まるでクラスターの未発表曲のよう。B面 "Ringspiel" は、ギターのハーモニクス音や持続音に、ガラガラ揺れる起き上がり小法師風の音。どちらも音の質感にこだわりつつ、アトモスフェリックな音像に終始しています。サブタイトル「アンビエント・ミュージック」は、より環境/空間的に聴くことを目的とした本作のコンセプトといえるもの。最近では、水の具体・擬似音響+川の映像、フルート+石造建築の映像による作品「Dal fiume le pietre」など、視覚と聴覚の結びつきに焦点を当てた作品を発表しています。


Born in Arona in 1953, Riccardo Sinigaglia is an architect as well as musician. He teaches electronic music at Milan Conservatory where he studied during the Seventies with Angelo Paccagnini. He collaborates with the video center of the Faculty of Architecture, Milan University, where he lectures on the relationship between music and image. His musical production also include music for documentaries, ballets and theatre spectacles. His work is based on modes, mean tone, pitagorean scales and complex polyrhythmics: he is deeply involved in ethnomusicology, the elements of which are revisited and employed in his musical language. In the 80's, togheter whith Walter Maioli and Gabin Dabiré, he founds the group Futuro Antico, a cross beetwin electronic and etno shamanic music. In 1985 he founded, together with Mario Canali, the audio-visual art group Correnti Magnetiche beginning to work with digital system. Correnti Magnetiche uses computerized systems in order to create audio-visual compositions, and produces videotapes, installations and live-electronics concerts. In concert play whith Maurizio Dehò (violin), Gabin Dabiré (balafon and percussions), Tommaso Leddi (violin, horn) and the soprano Rossana Maggia when Mario Canali paint on a graphic tablet with a big screen fellowing the music. Correnti Magnetiche works have won many prizes at international demonstrations of computer art in Austria, Japan, U.S.A., Italy, Hungary and Switzerland, and they have been broadcast on TV and radio world-wide (see curriculum). From 86 he work with Doubling Riders a musical group with Francesco Paladino and Pierluigi Andreoni. They play in festivals like Time Zone in Bari. He work als in wolrld music project with the libic singer Ahmed Fakrun. He work also with Pietro Pirelli and his Ensamble de la Roue, with Corrado Colliard (Tbn.), Mauro Gino (perc.) and Maurizio Barbetti (Vla.).


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2008年4月27日日曜日

[181] 吉村弘 - Music For Nine Post Cards


Label: Sound Process

Catalog#: WM 001
Format: Vinyl, LP, Album
Country: Japan
Released: 1982
DISCOGS

1 Water Copy 6:02

2 Clouds 5:50
3 Blink 4:39
4 Dance PM 6:28
5 Ice Copy 2:52
6 Soto Wa Ame 4:30
7 View From My Window 6:10
8 Urban Snow 4:41
9 Dream 5:20

現代音楽におけるシンプリシティや聴取法など関心を寄せていた作曲家・芦川聡が社会的なサウンドデザインの実践に先駆けて立ち上げた「波の記譜法」シリーズ。第一作として82年に出版された、吉村弘の初作「ナイン・ポスト・カード」。

窓の外の風景を眺め、その断片を記譜したポストカードを郵便で送る。その短いフレーズを、変化を与えながらリフレインすることで曲が完成する、というメール・イヴェントを通じて作曲された9つの曲を収録。「風や樹々の囁き、ゆっくり少しずつ形を変えていく雲の風景などに響き合う」(波の記譜法 書籍より)吉村弘の想い描いた音楽は、Enoが提起したアンビエント・ミュージックのコンセプトを反映したもので、極めて単純な構造でありながら無味/無表情ではなく、どこか寂しげで、時に穏やかであたたかな表情。環境(音/サウンドスケープ・空間)、そして聴取者の情感やイマジネイションとも響応する、器やキャンバスのような空/素地としての音のあり方が示され、この作品自体、さりげない挿絵をあしらった「絵葉書」のようでもあります。
波の記譜法シリーズは、同年第2作として芦川聡「Still Way」、84年には柴野さつき「Erik Satie」を発表し、次の企画「セリ・リフレクション」へ発展。86年には時事通信社より書籍「波の記譜法: 環境音楽とはなにか」が刊行。芦川聡の遺稿をはじめ、本作「ナイン・ポスト・カード」を含む環境音楽作品と、サウンドデザインの事例/サウンドスケープ調査・研究を同時に紹介した貴重な環境音楽論本です。

bio.

1940年に横浜で生まれ、2003年に惜しまれつつ逝去。早稲田大学文学部卒業後、作曲を独習しつつ、ヴィジュアル・ポエトリー、グラフィックス・デザイン、サウンド・サインを含む環境音楽など、ジャンルを軽やかに横断する才能を発揮する。自身の創案による音具、みずからの身体をもちいた即興的なパフォーマンスでも独自の境地を切り拓く。美術館などでのワークショップにも情熱を注いだ。そこには都市であれ、自然であれ、自分の周囲に存在するささやかな事物の変化に敏感に感応し、それとの対話を楽しみ、その楽しみからなにかを発見する、みずみずしく自由な感覚がいつでも息づいていた。また、すぐれたエッセイストでもあり、『静けさの本』(春秋社、2003年)は、生涯最後の著作あり、吉村弘が夢想しつづけた「総合芸術作品」となった。 - MINFAPLAN

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2008年3月10日月曜日

[109] 長谷川有機子 - 編鐘 水の祈り


Label: 有機音工房
Catalog#: -
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 2003

1 水の源(源流) 3:16

2 緑したたる(上流) 6:12
3 命はぐくむ(中流) 5:04
4 海へ(下流) 6:20
listen sample

2008年1月、NHKで「京 音をめぐる」という番組が放送されていました。私が幸いに見ることができたのはそのうちの何章かで、「晩鐘の音」(中川真氏が登場)「技の音」「暮らしの音」など、昔から続く京都の生活や文化をサウンドスケープの視点から紹介するという内容。その番組の中で、一人の女性が風変わりなカリヨンを演奏している様子が流れていました。その方が編鐘演奏家の長谷川有機子さん。復元された古代中国の宮廷楽器「編鐘」を奏で、自然・風景・祭礼を写し取る作曲活動を行っており、森羅万象に耳を澄ますことで感受性を育てる「イヤー・ゲーム」を教育の場で実践されています。賀茂川の源流から淀川の河口まで辿り、風景からメロディを授かったという本作は、現地録音された水の音を背景に、琴鐘・編鐘~カリンバ~タイの太鼓やジャンベといったリズムを強調した楽器が加わり、動的に移り変わっていきます。中でもカリンバと久乗編鐘の組み合わせた#3 "命はぐくむ" は何とも不思議な異国情緒があります。


... An instrumental CD of the rare instrument, Chinese Bells called "Hensho".  Titled "Hensho Mizu-no Inori" (Bell and River's Prayer).  Composer / performer Yukiko Hasegawa has written four pieces inspired by her fondness of the sound of the river.  In this disc, Hasegawa plays the Chinese Bells in Honen-in Temple (Kyoto) and as a harmony has recorded the sound of water flowing from its source (Kamogawa River) until it meets with the Yodogawa River and enters into Osaka Bay - the juxtaposition of human and nature dance together in a sound scape of quiet beauty.  The origin of Hensho dates back to ancient palace music.  A Hensho was placed in a Chinese burial tomb 2400 years ago (400 B.C.).  In Japan, only a handful of Hensho exist.


2008年3月8日土曜日

[105] イノヤマランド - 変形菌のための音楽


Label: Transonic Records
Catalog#: TRS-25025
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 1998

1 Hair Air 8:39
2 Sakusaku 6:54
3 Candy 8:53
4 Hattifnatt 5:44
5 Flying 1:22
6 Bananatron 7:51
7 Happy Birthday 5:50
8 Pixy 5:40
9 See Saw 4:15
10 Morn 7:40
11 Abatwa 3:07

「無尽無究の大宇宙の大宇宙のまだ大宇宙を包蔵する大宇宙を、たとえば顕微鏡一台買うてだに一生見て楽しむところ尽きず」(南方熊楠)
明治39年、複数の神社の祭神を一つの神社にまとめる神社合祀が行われ、かなりの数の社殿が姿を消したといわれています。この勅令に対して、神社の杜(鎮守の森やご神木)の伐採は生物を絶滅させ生態系を変えてしまうと考え、強く反対した人々の中に、博物学者・民俗学者の南方熊楠がいました。この熊楠が熱心に研究していた対象のひとつが変形菌(粘菌)。変形菌とは、微生物などを摂食しながら胞子により繁殖する、動物と植物の特徴を併せ持つ生物。このミクロの宇宙から感じた驚異や生命のダイナミズムが、環境保護の先駆的活動へと熊楠を突き動かしたのかもしれません。
変形菌のための音楽」は、1997-98年に上野国立科学博物館で開催された企画展「変形菌の世界」の館内音楽。作者は井上誠と山下康によるユニット Inoyama Land(イノヤマランド)。2人はヒカシューのシンセ奏者としても知られ、細野晴臣プロデュースによる83年作「ダンジンダン・ポジドン」では、ジャーマン・エレクトロニクスへの回答と評されるミニマルかつ叙情的なサウンドを作り上げた草分け的存在。90年代以降も博物館や展覧会のサウンドデザインなど多方面で活躍しています(最近ではリスーピア/パナソニックセンター東京の館内音楽を担当。)2人の操るやわらかな音色のシンセに、森のサウンドスケープを大々的に取り入れ、ネイチャー・サイエンスの世界への好奇心を刺激しながら黙想へと誘い込む、瑞々しいアンビエント・サウンド解説書には、変形菌の生態や培養の写真を掲載。さらに「本音源の付録として本物の変形菌を添付し、音盤の透明外箱に一寸細工を行い、拡大鏡の役目を命ずれば、名実共に『Music fur Schleimplize』となる……」と、実物見本をパッケージする当初の構想が記されていますが、それは衛生面から取りやめにしたとのことです。音楽も題材も、森の環境音楽と呼ぶに相応しい秀作です。

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田村洋/イノヤマランド - ストレス(ストレス・リラクセーション)
EMIのセルフ・コントロール・ミュージック・シリーズ(88年発表)の中で、森をイメージした1枚。イノヤマランド担当の後半は、"木漏れ日" という曲が5編収録されていますが、リラクゼーション音楽としてやや優しすぎる作風になっていて、前半の田村洋によるシリアスで音数の少ない曲に環境音楽としての発見がありました。このシリーズはほかに、血圧が高い人のための「鎮静」、血圧が低い人のための「活力」、眠れない人のための「不眠」、疲れている人のための「疲労」の全5作。95年に別のアートワークで再発。

2008年2月25日月曜日

[074] 高野昌昭 - しずくたち


Masaaki Takano - Shizukutachi

Label: Miyanaga Records
Catalog#: SS-4141
Format: Vinyl, LP, Clear Vinyl
Country: Japan
Released: 1978
DISCOGS

A1 しずくたち

B1 しずくたち

50年代初頭に演劇などの舞台音響の制作者・技術者としてキャリアをスタート、自然音を集めたレコードを発表し、1980年より自然素材を使った音具によるコンサートを行った音響効果の功労者、故・高野昌昭。音効仕事で精神的に衰弱したある日、標高2,000メートルを超える山に登った氏は、音を起てずに佇む大きな石にマイクを向け、石・大自然・地球と対話をしているような言わば天啓を受けたことを機に、自然音の世界で活動を始めたといいます。本盤は、その山中で崖の影の小さな窪みに見たしずくの誕生(氏曰く「大自然の赤ん坊」)に感化され、その爽やかで純朴な音との出会いの感動を再現しようと試みたスタジオ録音作品。若竹の節に穴を開けて、常時水滴となるように仕掛けた自作音具を用いて録音されていて、滴る水の音のみが収められたシンプルな作品ですが、その一音一音にインパクトのある響きの楽しさがあります。本作発表後、高野氏は音と戯れながら音楽以前の音/音が生まれる瞬間を共有する「音あそびの会」を主宰。


このレコードの内容の一部はCDで聴くことができる。『おんこうくん 2000 プレミアム(※)』という音効用音源を収めた2枚組CDのディスク1のトラック10と11が本レコードからの抜粋である。このディスク1の音は全て高野さんによって制作されたもので、最後のトラックは2分32秒の音源で「安保」と題されている。総理官邸のそばで安保闘争のデモ隊の様子を高野さんが録音したものである。音効の音源の最後に何故この録音を配したのだろう?高野さんは1944年に海軍航空隊に入隊し、特攻隊要員として終戦を迎えたという。 - musicircus 今年の10枚2007年原田正夫(月光茶房)より抜粋 


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新機関誌 水琴窟 創刊号: 高野昌昭 - 私の音生活 (2007) 
卓上音具しずくたち (高野昌昭 作)